宅建士で年収は上がる?合格率18.7%の試験から転職・結婚までの現実
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目次
結論から言うと、宅建士(宅地建物取引士)は「取った瞬間に年収が跳ね上がる資格」ではなく、「使い方によっては、転職や資格手当につながる資格」です。不動産会社(法律上は宅地建物取引業者)には法律で宅建士を置く義務があるため、資格を持つ人が必要とされる土台があります。一方で、宅建士だけを対象にした年収の公的な統計は、今回確認した範囲では見当たらず、資格手当の額も会社ごとに違います。この記事では、試験の数字、年収が変わる仕組み、年収と結婚の関係を、できるだけ公的な資料で確認したうえで、働きながら受験して婚活と両立する3つの型を整理します。
なぜ「年収を上げる資格」として宅建が挙がるのか
理由は法律にあります。宅地建物取引業法では、不動産会社(法律上は宅地建物取引業者)は、事務所などの場所ごとに、国土交通省令で定める数の、成年者である専任(その事務所に常勤して宅建業の仕事に専念する)の宅地建物取引士を置かなければならないと定めています(第31条の3)。その数は、施行規則で「事務所で宅建業の業務に従事する者の数に対して5分の1以上」、事務所以外の省令で定める場所では1人以上とされています(施行規則第15条の5の3)。事務所で宅建業の業務に従事する人が5人以下なら1人以上、6人から10人なら2人以上というように、端数は切り上げて数えます。
さらに、物件の契約前に行う重要事項の説明は、宅建士にさせなければなりません(同法第35条)。この2つの決まりがあるため、不動産会社は宅建士を一定数そろえる必要があります。資格を持つ人を採用したり、社内の取得者に手当を出したりする会社があるのは、この義務が背景にあります。
ここで押さえておきたいのは、需要があるのは「資格そのもの」というより、「資格を持って不動産の仕事をする人」だという点です。資格を取っただけで、不動産と関係のない職場にいれば、年収は基本的に変わりません。
宅建試験の数字(令和7年度)
試験を実施している一般財団法人不動産適正取引推進機構の公表資料によると、令和7年度(2025年度)の結果は次のとおりです。
| 項目 | 令和7年度 | 令和6年度 |
|---|---|---|
| 申込者数 | 306,099人 | 301,336人 |
| 受験者数 | 245,462人 | 241,436人 |
| 合格者数 | 45,821人 | 44,992人 |
| 合格率 | 18.7% | 18.6% |
| 合格基準点(一般受験者) | 50問中33点 | 50問中37点 |
受験者のおよそ5人に1人が合格する試験です。合格基準点は年によって動き、令和7年度は33点、令和6年度は37点でした。機構が公表している過去10年分を見ると、一般受験者の基準点は33点から38点の間です。「何点取れば受かる」と決め打ちせず、どの年の基準点も上回れるように、50問中40点前後を目標にするのが現実的です。
試験の基本的な条件も確認しておきます。機構の案内によると、日本国内に居住する人であれば年齢や学歴に関係なく誰でも受験でき、受験手数料は8,200円、試験は毎年1回、10月の第3日曜日に実施されます。出題は四肢択一式(4つの選択肢から1つを選ぶ形式)で50問です。宅建業の従業者向けの登録講習を修了した人は、一部の科目が免除され45問になります。なお、合格後に宅建士として登録するには別の条件があり、合格しただけでは「宅建士」を名乗れません。登録の条件は機構や都道府県の案内で確認してください。
資格学校のスタディングが機構の公表数値を転載した記事によると、令和7年度の合格者の平均年齢は36.2歳でした。平均年齢だけでは就業状況までは分かりませんが、学生だけの試験ではないことは読み取れます。
宅建で年収はどう変わるのか
不動産業の平均給与は、全業種平均より少し高い
宅建士だけの年収を集計した公的な統計は、今回確認した範囲では見当たりませんでした。そこで、宅建士が多く働く業種の給与を見ます。国税庁の民間給与実態統計調査(令和7年分)で、1年を通じて勤務した給与所得者の業種別平均給与は次のとおりです。
| 業種 | 平均給与(令和7年分) |
|---|---|
| 全業種の合計 | 486.6万円 |
| 不動産業,物品賃貸業 | 512.5万円 |
| 建設業 | 590.3万円 |
| 金融業,保険業 | 725.6万円 |
| 卸売業,小売業 | 413.4万円 |
不動産業は全業種の平均より約26万円高い水準です。ただし、この数字には宅建士でない人も含まれ、正社員以外も含まれます。また、建設業や金融業のほうが平均は高く、「不動産業に移れば必ず年収が上がる」とは言えません。業種の平均は、個人が転職したときの前後の差を示すものではないので、転職の判断では今の給与と具体的な求人の条件を比べてください。
資格手当は会社ごとに違い、相場を示す統計は見当たらない
宅建士に資格手当を出す会社がありますが、額を示す公的な統計は今回確認した範囲では見当たりませんでした。2026年10月20日に求人サイトで確認した範囲では、月1万円、2万円、3万円といった額を示す求人がありました。中には、入社後に合格した場合の祝い金として一時金を出す会社や、勤続1年以上などの条件を付ける会社もあります。
月2万円なら年24万円です。家計への影響は人によりますが、勤務先に制度があれば、転職せずに収入が増える点が、資格手当の現実的な価値です。制度の有無と条件は、就業規則や人事に確認してください。
年収が上がる経路は3つ
宅建を取って年収が上がる経路を分けると、次の3つになります。
- 今の会社で手当がつく: 不動産会社や住宅会社に勤めている人。額は会社の規定次第。
- 不動産業へ転職する: 別業種から移る人。業種の平均給与の差が目安になる。
- 営業成績で伸ばす: 不動産営業には、求人票を見ると歩合(成果に応じた給与)の比率が高い会社がある。資格は入口で、伸ばすのは成績。
結婚を見据えた人にとって大事なのは、3つ目の性質です。歩合の比率が高い会社は、良い年は伸びますが、悪い年は下がります。結婚後の家計を考えるなら、求人票の年収例が「固定給いくら+歩合いくら」なのかを確認し、下がった年でも生活が回るかを先に計算しておくと判断しやすくなります。
年収と結婚はどれくらい関係があるのか
「年収を上げれば結婚できる」と単純には言えませんが、年収と未婚率に統計上の関連があることは、公的な資料に出ています。
内閣府の令和5年度年次経済財政報告は、総務省の就業構造基本調査をもとに、「30代の男性有業者(仕事を持つ人)では、年収が高いほど未婚率が低い傾向にあり、この傾向は2012年からほとんど変わっていない」と述べています。掲載されている図(第2-2-6図)を読むと、2022年の30代男性有業者の未婚率は、年収100万円台で7割台、300万円台で5割前後、500万円台で3割弱、800万円以上で2割弱と、年収が上がるほど下がっています(図からの読み取りのため概数です)。一方で女性では、この関係は男性ほどはっきりしていません。
結婚相手に求める条件の調査もあります。国立社会保障・人口問題研究所の第16回出生動向基本調査(2021年)では、「いずれ結婚するつもり」と答えた18〜34歳の未婚者に、結婚相手を決めるときに何を重視するかを尋ねています。相手の「経済力」を重視または考慮する割合は、女性が男性に対して91.6%(うち重視36.3%)、男性が女性に対して48.2%(うち重視4.7%)でした。男性が相手の経済力を重視または考慮する割合は、1992年の26.7%から2021年の48.2%へ上がっています。
2つの資料から読めるのは、次のことです。
- 30代の男性有業者では、年収と未婚率に統計上の関連がある
- ただし「重視する」人は女性でも4割弱で、多くは「考慮する」。この調査だけでは、いくらの年収が必要か、どの水準から影響が弱まるかは分からない
- 男性側も、相手の経済力を重視または考慮する人が半数近くまで増えている。背景に共働き志向がある可能性はあるが、この調査だけでは理由までは分からない
当サイトの見方では、婚活の場では年収の額に加えて、「これからの働き方と収入の見通しを自分の言葉で説明できるか」が安心材料になります。宅建の価値はここにあります。「宅建を取ったので、勤務先の規定で来年から手当がつきます」「合格したので不動産業へ転職し、2年後にこのくらいを目指しています」と、制度や採用条件を確かめたうえで見通しを話せる人は、同じ年収でも相手に伝わるものが違います。
宅建→転職→結婚のタイムライン、3つの型
宅建は年1回、10月の試験です。合格発表は例年11月下旬で(令和7年度は11月26日)、宅建士としての登録は合格後です。転職は、合格前に進める方法もあります(後述のC)。結婚を見据えるなら、このスケジュールと婚活をどう重ねるかを先に決めておくと、途中で止まりにくくなります。
A 先に資格、次に転職、最後に婚活
今の仕事を続けながら勉強し、10月に受験。合格後に手当か転職で年収の土台を整えてから婚活を始める型です。話せる材料がそろってから動けるので、自己紹介で今後の計画を話しやすくなります。弱点は時間です。試験に一度落ちると1年延びるため、年齢や相手の希望との兼ね合いで、婚活の開始が遅れすぎないかを先に見ておく必要があります。
B 勉強と婚活を並行する
平日の夜と休日の午前を勉強、休日の午後を出会いに使うなど、時間を分けて同時に進める型です。「宅建の勉強中です」は、将来の働き方を話す材料になります。弱点は、どちらも中途半端になりやすいことです。週に何時間を勉強に充てるかを先に決め、守れない週が続いたら片方を一時止める、という線を引いておくと崩れにくくなります。
C 先に転職し、資格は入社後に取る
不動産会社の中には、未経験者を採用し、入社後の合格に祝い金や手当を出す会社があります。先に業種を変えて収入の見通しを作り、資格は働きながら取る型です。早く動ける半面、資格手当がつかない分、最初の年収は資格ありの場合より低くなることがあり、合格できなければ手当もつきません。求人票の「資格取得支援」の中身(費用の補助か、祝い金か、勉強時間の配慮か)を面接で具体的に聞いてから決めてください。
どの型でも共通するのは、「いつまでに何を決めるか」の期限を自分で決めておくことです。勉強する期間は、出会いの時間が減りやすい期間でもあります。この点は期間工で結婚資金を貯める記事で書いた「貯める期間」と同じ構造です。
勉強の進め方と、資格学校の使いどころ
宅建は独学でも受験できる試験で、独学で合格する人もいます。一方で、仕事をしながら勉強の計画を自分で立てるのが苦手な人には、通信講座や資格学校のカリキュラムに沿って進める選択肢があります。どちらが向くかは人によるので、独学と講座の違いを整理します。
| 観点 | 独学 | 通信講座・資格学校 |
|---|---|---|
| 費用 | 教材費のみ | 講座費用がかかる(額は各社の公式サイトで確認) |
| 学習計画 | 自分で立てる | 講座のカリキュラムに沿う |
| 質問 | 基本的に質問先がない | 質問制度の有無は講座ごとに違う |
| 向く人 | 勉強の習慣がある人 | 計画を立てるのが苦手な人、時間が限られる人 |
講座を選ぶときに見るべき点は次の4つです。
- 教材の形式: 動画中心か、紙のテキスト中心か。通勤時間に進めるなら動画やスマホ対応が便利
- 質問できるか: 法律の科目はつまずきやすい。質問の回数や方法を確認する
- 合格時の特典の条件: 返金や祝い金は、申請期限や条件が細かい。申し込む前に条件を読む
- 費用と期間: 講座の費用、受講できる期間、次年度への延長の可否
講座の費用や合格実績は時期で変わります。この記事では額を書かず、各社の公式サイトで最新の条件を確認してもらう形にしています。また、どの講座を使っても、合格を保証するものではありません。
下は資格学校の一例で、当サイトの広告です。費用や講座の内容は公式サイトで確認してください。
宅建が向く人・向かない人
当サイトの見方として、結婚を見据えた資格として宅建が向くのは次のような人です。
- 不動産・住宅・建設・金融のいずれかに関わる仕事をしている、または移りたい人
- 法律の条文を読んで覚える勉強が苦にならない人
- 年収を「少し底上げして、見通しを作りたい」人
逆に、向きにくいのは次のような人です。
- 不動産と関係のない業種で、転職の予定もない人(手当も転職の幅も効きにくい)
- 「資格を取れば年収が倍になる」と期待している人
- 試験勉強のために、1年間ほぼ出会いの時間を止めることになりそうな人
3つ目は、資格より先に、自分が結婚に対してどんな姿勢かを確認したほうがよいケースです。マリッジタイプ診断で、自分が「先に土台を整えたい」タイプなのか、「動きながら決めたい」タイプなのかを見ておくと、上の3つの型のどれが合うかを決めやすくなります。
よくある質問
宅建を取れば、婚活で有利になりますか?
資格そのものが決め手になることは少ないと考えています。大事なのは、資格を根拠に「これからの収入の見通し」を説明できることです。資格を取ったあとに、それをどう使うか(手当・転職・成績)まで話せると、安心材料になります。
女性が宅建を取る意味はありますか?
あります。法律上、宅建士の設置義務に男女の区別はありません。また、前に挙げた調査では、相手の経済力を重視または考慮する男性が半数近くまで増えています。共働きを前提に結婚を考えるなら、自分の働き方の見通しを作れる資格として意味があります。
合格までにどのくらい勉強が必要ですか?
必要な時間は、法律の勉強の経験や、確保できる学習時間、集中できる環境で大きく変わります。資格学校が目安の学習時間を示していることがありますが、公的な数字ではないので、この記事では書きません。確実なのは、試験が年1回で、過去10年の合格基準点が33点から38点の間で動いていることです。どの年の基準点も上回れる得点を目標にしてください。
不動産営業は結婚後も続けやすい仕事ですか?
会社によります。住宅の販売や仲介では土日に営業する会社があり、歩合の比率が高い会社では収入の波もあります。結婚後の生活を考えるなら、固定給の比率、休日の取り方、転勤の有無を、転職前に確認してください。この点は、パートナーと先に話し合っておくほうが、あとでもめにくくなります。
まとめ
- 宅建士は、法律上の設置義務(事務所では、宅建業の業務に従事する人数の5分の1以上)と、契約前の重要事項説明を宅建士に行わせる義務があるため、不動産会社に必要とされる
- 令和7年度の合格率は18.7%。年1回・10月の試験で、日本国内に居住していれば年齢や学歴の制限なく受験できる
- 不動産業の平均給与は512.5万円で、全業種平均(486.6万円)より約26万円高い。ただし宅建士だけの統計はなく、資格手当も会社ごとに違う
- 30代の男性有業者は年収が高いほど未婚率が低い。相手の経済力を重視または考慮する割合は、女性91.6%、男性48.2%
- 婚活では年収の額に加えて、制度や条件を確かめた働き方の見通しを話せることが安心材料になる
- 「先に資格」「並行」「先に転職」の3つの型から、自分の年齢と相手の希望に合うものを選ぶ
宅建は、結婚に向けた働き方の見通しを作る道具のひとつです。資格を取ること自体を目的にせず、「取ったあとに何をするか」と「その間に出会いの時間をどう確保するか」を先に決めてから勉強を始めてください。自分がどのタイプかを確かめたい方は、マリッジタイプ診断を受けてみてください。
この記事の出典と確認日
確認日は2026年10月20日です。試験の条件や統計の数字は更新されることがあります。
- 試験実施概況(令和7年度以前10年間)(一般財団法人不動産適正取引推進機構)
- 宅地建物取引士資格試験の案内(一般財団法人不動産適正取引推進機構)
- 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)
- 宅地建物取引業法施行規則(e-Gov法令検索)
- 民間給与実態統計調査 長期時系列データ 3-8 1年勤続者の業種別給与所得者数・給与総額・平均給与(国税庁)
- 令和5年度年次経済財政報告 第2章第2節 少子化と家計経済(内閣府)
- 第16回出生動向基本調査 第Ⅰ部 独身者調査の結果(国立社会保障・人口問題研究所)
- 宅建試験の合格発表(スタディング・機構の公表数値を転載)
本記事の数字は公開時点の目安であり、年収や合格を保証するものではありません。受験や転職の判断は、最新の公式情報を確認したうえで行ってください。
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