結婚を機に家を買うときのお金|頭金の実績値・諸費用の税率・ペアローンの注意点
目次
「賃貸か購入か」を考え抜いて、いよいよ買うと決めたあとに待っているのが、お金の段取りです。物件価格だけを見て予算を組むと、契約の直前に「こんなに足りないのか」と慌てることになります。この記事では、頭金・諸費用・ローンの組み方を、買うと決めた夫婦の目線で整理します。
目安としてよく聞く「頭金は2割」「諸費用は1割」といった言い方は使いません。代わりに、住宅金融支援機構と国土交通省が公表している実際の利用者の数字、国税庁と東京都が公表している税率、国土交通省の告示にある手数料の上限を並べます。数字は確認日時点のもので、物件の種類や地域、家庭の事情で変わる点はそのつど補足します。
まず押さえる:必要なお金は「物件価格」だけではない
家の購入でかかるお金は、大きく3つに分けると整理しやすくなります。
- 頭金(手持金):物件価格のうち、自己資金で先に払う部分
- 諸費用:登記・税・手数料・保険など、物件価格とは別にかかるお金
- 住宅ローン:頭金で足りない分を借りて、長期で返していくお金
見落としやすいのが諸費用です。「貯金は全部頭金に回す」と決めてしまうと、諸費用の現金が足りなくなることがあります。
頭金はいくら入れているのか:実際の利用者の数字
フラット35の利用者は、物件価格の1割前後から2割強
住宅金融支援機構の「2024年度 フラット35利用者調査」(2024年4月〜2025年3月の承認案件27,523件を集計)には、住宅の種類ごとの所要資金(物件価格に当たる金額)と手持金の平均が載っています。調査上の「手持金」を、この記事では自己資金(頭金)として扱います。全国の2024年度の数字から、手持金が所要資金の何%に当たるかを当サイトで計算すると、次のとおりです。
| 住宅の種類 | 所要資金の平均 | 手持金の平均 | 手持金の割合(計算値) |
|---|---|---|---|
| 建売住宅 | 3,826万円 | 322.8万円 | 8.4% |
| 中古戸建 | 2,573万円 | 232.5万円 | 9.0% |
| 土地付注文住宅 | 5,007万円 | 460.7万円 | 9.2% |
| 中古マンション | 3,033万円 | 524.4万円 | 17.3% |
| 注文住宅(土地取得費を含まない) | 3,936万円 | 729.0万円 | 18.5% |
| マンション | 5,592万円 | 1,337.9万円 | 23.9% |
| 全体 | 3,868万円 | 486.4万円 | 12.6% |
全体では、所要資金の1割強を自己資金で用意している計算です。建売住宅や中古戸建では1割を切り、新築マンションでは2割を超えます。同じ調査では、平均世帯年収は669万円、所要資金を世帯年収で割った年収倍率は全体で6.5倍(中古戸建5.3倍、土地付注文住宅7.5倍)でした。いずれも実際に借りた人の平均で、審査の基準や安全な水準を示す数字ではありません。
国土交通省の調査では、自己資金比率は27〜45%
国土交通省の「令和6年度住宅市場動向調査」(令和5年4月〜令和6年3月に住み替えた世帯が対象。分譲・中古は三大都市圏、注文住宅は全国)では、購入資金に占める自己資金の割合が住宅の種類ごとに出ています。
| 住宅の種類 | 購入資金の平均 | 自己資金比率 | 平均世帯年収 | 世帯主の平均年齢 |
|---|---|---|---|---|
| 分譲戸建住宅 | 4,591万円 | 27.3% | 851万円 | 38.8歳 |
| 分譲集合住宅(新築マンション) | 4,679万円 | 44.7% | 891万円 | 44.1歳 |
| 既存(中古)戸建住宅 | 2,917万円 | 36.6% | 699万円 | 44.8歳 |
| 既存(中古)集合住宅 | 2,919万円 | 43.8% | 717万円 | 45.7歳 |
| 注文住宅(土地を購入した世帯・全国) | 6,188万円 | 32.2% | 907万円 | 45.0歳 |
2つの調査は、対象(フラット35の利用者か、住み替えた世帯全体か)、地域、ローン利用の有無が違うため、数字を単純には比べられません。それでも合わせて読むと、フラット35の利用者では自己資金が物件価格の1割前後の層が目立つ一方で、国土交通省の調査では住宅の種類別の平均が27.3〜44.7%で、自己資金を多めに入れる世帯も相当数いる、というのが実態です。
「いくら入れられるか」ではなく「入れても安心な額」で決める
頭金を多く入れると、借入額が減って毎月の返済や利息の総額が軽くなります。一方で、手元の現金をすべて頭金につぎ込むのは危険です。国土交通省の同じ調査では、住宅の購入をきっかけに買った家具や家電などの耐久消費財の合計金額は、中央値で100万円(注文住宅・分譲戸建住宅)でした。引っ越し費用、家具家電、当面の生活費を残したうえで、「入れても安心して暮らせる額はいくらか」で決めるのが、当サイトの考え方です。手元にいくら残すかの目安は、結婚前の貯金の記事で整理しています。
諸費用:何に、どの税率でかかるのか
諸費用の合計は物件の種類と借り方で変わるので、この記事では「物件価格の何%」という言い方はしません。代わりに、項目ごとに法令で決まっている税率や上限を示します。合計は、不動産会社と金融機関に見積もりを出してもらって確かめてください。
| 項目 | 内容と根拠 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 中古・仲介物件で発生。上限は国土交通省の告示で決まっており、税抜きの売買代金を区分して、200万円以下の部分が5.5%、200万円超400万円以下の部分が4.4%、400万円超の部分が3.3%(いずれも消費税込み)を足した額が、依頼者の一方当たりの上限。800万円以下の物件は、費用を考慮して33万円(税込)まで受け取れる特例がある |
| 登録免許税 | 建物の所有権の保存登記は本則0.4%、売買による移転登記は本則2%。住宅用家屋で床面積50㎡以上などの要件を満たせば、令和9年3月31日まで保存登記0.15%、移転登記0.3%に軽減。土地の売買による移転登記は令和11年3月31日まで1.5%。住宅ローンの抵当権設定登記(ローンの担保として家を登記すること)も軽減で0.1% |
| 印紙税 | 紙で作る売買契約書に課税。契約金額が1,000万円超5,000万円以下なら本則2万円で、令和9年3月31日までに作る契約書は軽減で1万円(5,000万円超1億円以下は本則6万円・軽減後3万円) |
| 不動産取得税 | 都道府県税。土地と住宅は令和9年3月31日まで税率3%(住宅以外の家屋は4%)。価格は購入価格ではなく、原則として固定資産税の評価額(市町村が決めた価格)。新築住宅は床面積50㎡以上240㎡以下などの要件を満たせば、その価格から1,200万円を控除。宅地は令和9年3月31日まで価格の2分の1が税率を掛ける基礎になる |
| 司法書士報酬 | 登記を依頼する場合。事務所ごとに違う |
| ローン事務手数料・保証料 | 借入先と商品で大きく差が出る。ペアローンは契約が2本になるので事務手数料は契約ごとにかかる。保証料の有無や払い方は商品による |
| 火災保険料・地震保険料 | 火災保険は加入が借入の条件になることが多い。地震保険を付けるかは別に決める。保険会社と補償内容で違う |
| 修繕積立金・管理費 | マンションは購入後も毎月かかる |
税率や軽減の期限は、記事の確認日(2026年10月20日)時点のものです。軽減措置は期限つきで、改正で変わります。最終的な金額は、不動産会社、金融機関、法務局(登録免許税)、税務署(印紙税・住宅ローン控除)、物件のある都道府県の税事務所(不動産取得税)で確認してください。税金の考え方は結婚と税金の記事にもまとめています。
住宅ローンの組み方は3パターン
共働き夫婦のローンの組み方は、主に次の3つです。ここでは、条件が公開されている住宅金融支援機構のフラット35の仕組みを例にします。民間の金融機関では名称や条件が違うので、申し込む先で確認してください。
- 単独ローン:どちらか一方が契約者。審査も返済も1人分。借りられる額は、原則として申込者本人の収入などをもとに審査される
- 収入合算:申込者本人と、要件に当てはまる人の収入を合わせて申し込む。フラット35では、合算できるのは配偶者または直系親族で、申込時70歳未満、本人と同居し、連帯債務者(本人と同じ返済義務を負う人)になる人。合算できる額は合算者の年収の全額までで、合算額が合算者の年収の50%を超えると借入期間が短くなる場合がある。契約は1本
- ペアローン:1つの物件に対して、夫婦などがそれぞれ単独で申し込み、2つのローンを併せて使う制度。契約が2本になる
ペアローンで気をつけたいこと
フラット35の案内には、ペアローンの利点として、2人が別々の借入期間を選べること、それぞれが団体信用生命保険(団信。契約者が亡くなったときなどにローンの残りが保険で返済される仕組み)に入れること、返済口座を分けられることが挙げられています。同時に、注意点として次の3つが書かれています。
- 一方が返済を怠って一括返済を求められた場合、もう一方も自分の債務について一括返済を求められる
- ローン契約が2本になるため、抵当権設定の登記費用や事務手数料がそれぞれにかかる
- 団信は個別に加入するため、一方に万一のことがあっても、もう一方は自分の債務の返済を続ける必要がある
3つ目が、結婚を機に組む夫婦にとって最も重い点です。「相手が亡くなったら家のローンは全部なくなる」と思い込んでいると、残った側の債務がそのまま続くことになります。どちらかが亡くなったときに残債がどうなるかは、契約前に必ず確認してください。
もう1つ、ペアローンは2人とも働き続ける前提で借入額を設定しやすい仕組みです。産休・育休で一時的に収入が下がる時期や、どちらかが離職・転職する可能性を見込んだうえで決めることをすすめます(確認の仕方は次の節)。
金利タイプは変動型が4分の3
住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」(2026年1月調査・回答1,237件)では、利用した金利タイプは変動型が75.0%、固定期間選択型が14.9%、全期間固定型が10.1%でした。変動型は、金利が動いたときに返済額が見直される仕組みで、見直しの時期や上限のルールは商品ごとに違います。変動型を選ぶなら、商品のルールを確認したうえで、金利が上がった場合の返済額も金融機関のシミュレーションで出しておいてください。
無理のない借入額の考え方
金融機関が「貸せる額」と、家計が「無理なく返せる額」は別です。目安になる実績値として、フラット35利用者調査では、1か月当たりの予定返済額を世帯月収で割った総返済負担率の平均が、2024年度で23.2%でした(土地付注文住宅が26.8%で最も高い)。この数字は、調査で定義された世帯月収に対する割合で、フラット35を実際に借りた人の平均です。審査の基準や安全な水準を示すものではありません。
当サイトの考え方としては、次の3点を2人で確認してから借入額を決めることをすすめます。
- 手取りで計算する:返済負担率を税引き前の収入で見ると軽く見えます。手取りに対して毎月いくら払うのかで確認する
- 片方の収入が減っても回るか:片方の手取りだけで返済と生活費が回るかを試算する
- 金利上昇と、教育費・老後資金との両立:変動型なら金利が上がった場合の返済額を出し、子どもの教育費や老後の積み立てと同時に続けられるかを見る
住宅ローン控除は、家の性能で変わる
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、国税庁の案内によると、年末のローン残高などをもとに0.7%で計算した額を、借入限度額と納める税額の範囲で所得税から差し引ける制度です。控除期間と上限は住宅の区分で違います。新築で省エネ性能の要件を満たす住宅(認定長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅)は13年で、省エネ基準を満たさない新築の「その他の住宅」は、令和6年以降の入居では原則として対象外です(令和5年12月31日までに建築確認を受けた住宅などは10年の控除を受けられる例外があります)。中古住宅は、認定住宅などが令和8年から令和12年の入居で13年、その他の住宅は10年です。
結婚を機に買う夫婦に関係が深いのが「特例対象個人」の扱いです。40歳未満で配偶者がいる人、40歳以上で40歳未満の配偶者がいる人、または19歳未満の扶養親族がいる人は、住宅の区分に応じて控除限度額が上乗せされます。上乗せの対象になる入居年は区分ごとに違い、認定住宅とZEH水準省エネ住宅は令和12年まで、省エネ基準適合住宅は令和9年までです(床面積40㎡以上50㎡未満の特例認定住宅等に令和8年1月1日以降に入居した場合は対象外)。床面積は原則50㎡以上、合計所得金額は2,000万円以下といった要件もあります。
ペアローンは契約が2本になるので、夫婦それぞれが持分・債務・所得などの要件を満たすかを確認してください。控除額は物件の性能と借入額で大きく変わるため、購入前に不動産会社と税務署で確かめることをすすめます。
まとめ
- 家の購入費用は「頭金」「諸費用」「ローン」の3つで考える
- フラット35利用者の手持金は所要資金の1割強(全体12.6%)。国土交通省の調査では自己資金比率は27〜45%。1割前後で買う世帯も、2〜4割入れる世帯もある
- 諸費用は「物件価格の何%」ではなく、仲介手数料の上限(400万円超の部分3.3%)、登録免許税・不動産取得税・印紙税の税率と軽減期限(多くが令和9年3月31日まで)を項目ごとに確認する
- ローンは単独・収入合算・ペアローンの3つ。ペアローンは借入額を増やせる反面、事務手数料が契約ごとにかかり、団信は個別で、一方に万一のことがあっても、もう一方の自分の債務は残る
- 借りられる額ではなく、手取りで、片方の収入でも回るかで決める。フラット35利用者の総返済負担率の平均は23.2%
- 住宅ローン控除は住宅の区分で期間と上限が変わり、省エネ基準を満たさない新築住宅は令和6年以降の入居では原則対象外
家を持つかどうかは、2人の価値観やお金の考え方がはっきり出る場面です。パートナー選びの段階で結婚観をすり合わせておくと、こうした大きな決断も進めやすくなります。自分の結婚への向き合い方を整理したい方は、当サイトのマリッジ・レディネス診断で現在地を確かめてみてください。
この記事の出典と確認日
確認日は2026年10月20日です。税率・軽減措置・ローンの条件は改正や商品改定で変わります。
- 2024年度 フラット35利用者調査 調査結果の概要(住宅金融支援機構・2025年7月25日)
- 2024年度 フラット35利用者調査 集計表(住宅金融支援機構)
- 住宅ローン利用者の実態調査 2026年1月調査 概要(住宅金融支援機構)
- 令和6年度住宅市場動向調査 報告書(国土交通省・2025年7月18日公表)
- 令和6年度住宅市場動向調査 調査結果概要(抜粋)(国土交通省)
- 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(建設省告示第1552号・令和6年6月21日改正・大阪府掲載)
- No.7191 登録免許税の税額表(国税庁)
- No.7140 印紙税額の一覧表(国税庁)
- 「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について(国税庁・令和6年4月改訂)
- 不動産取得税(東京都主税局・ガイドブック)
- 収入合算(住宅金融支援機構 フラット35)
- ペアローン(住宅金融支援機構 フラット35)
- No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)(国税庁)
- No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)(国税庁)
本記事の数字は公開時点の目安であり、借入や税額を保証するものではありません。購入の判断は、最新の公式情報と見積もりを確認したうえで行ってください。
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