新婚の家賃の目安はいくら?全国平均と家計統計から考える夫婦の住居費
目次
結論から言うと、新婚の家賃は「手取りの何%」という決まった正解があるわけではなく、実際に払われている家賃の水準と、自分たちの手取りと支出から逆算して決めるものです。当サイトの目安は、家賃に管理費と駐車場代を足した毎月の住居費を、世帯の手取りの25%前後に収めることです。これは統計から導かれた基準でも公的な基準でもなく、貯蓄に回す余地を残すための当サイト独自の考え方です。この記事では、総務省の統計から全国の家賃と勤労者世帯の家計の実態を確認したうえで、目安の決め方、共働きの落とし穴、家賃以外にかかる住居費、貯蓄とのバランスを整理します。
全国の家賃はいくら払われているか
まず、実際の家賃の水準を押さえます。総務省の令和5年住宅・土地統計調査(2023年10月1日時点)によると、借家(専用住宅)の1か月当たり家賃は全国平均で59,656円でした。2018年の調査(55,695円)と比べて7.1%の増加です。借家の種類別に見ると次のとおりです。
| 借家の種類 | 1か月当たり家賃(2023年・全国) | 2018年からの増減 |
|---|---|---|
| 借家(専用住宅)全体 | 59,656円 | +7.1% |
| 民営借家(非木造) | 68,548円 | +7.0% |
| 民営借家(木造) | 54,409円 | +4.5% |
| 都市再生機構(UR)・公社の借家 | 71,831円 | +2.8% |
| 公営の借家 | 24,961円 | +7.6% |
| 給与住宅 | 37,993円 | +11.6% |
新婚で選ぶことが多い民間のマンションやアパート(民営借家)は、鉄筋コンクリート造などの非木造で68,548円、木造で54,409円が全国平均です。この数字は全国の借家全体の平均で、都市部の新しい物件はこれより高く、地方や築年数の古い物件は低くなります。広さの違いを除いた1畳当たりの家賃は、民営借家(非木造)が4,151円で最も高くなっています。
「平均より高いから無理」でも「平均より安いから安心」でもありません。ここで確認したいのは、全国で見ると家賃は月6万円前後が中心で、この5年で上がっている、という事実です。
勤労者世帯の家計はどうなっているか
次に、家計の側を見ます。総務省の家計調査(2025年平均)によると、二人以上の世帯のうち勤労者世帯(平均世帯人員3.20人、世帯主の平均年齢51.0歳)の1か月の家計は次のとおりです。
| 項目 | 1世帯当たり1か月平均(2025年) |
|---|---|
| 実収入(税込みの収入の合計) | 653,901円 |
| 可処分所得(実収入から税金・社会保険料などを引いた、いわゆる手取り) | 532,408円 |
| 消費支出 | 346,297円 |
| 可処分所得から消費支出を引いた残り | 186,111円 |
可処分所得のうち消費支出に使われているのは約65%で、残りの約35%が貯蓄やローンの返済などに回っている計算です。世帯主が40歳未満の勤労者世帯では、可処分所得は541,537円でした。
ここで注意が要るのは、家計調査の「住居」費は二人以上の世帯の平均で18,678円と小さいことです。これは持ち家の世帯(家賃を払っていない世帯)も含めた平均なので、賃貸で暮らす新婚の家賃の目安にはなりません。家賃の水準は前の節の住宅・土地統計調査で見るのが適切です。
また、この家計調査の世帯は平均世帯人員が3.20人で、子どもがいる世帯も多く含まれます。新婚の二人暮らしは人数が少ない分、消費支出も世帯平均より小さくなるのが普通です。数字はそのまま当てはめず、「平均的な勤労者世帯は手取りの3分の1強を消費以外に回せている」という構造を押さえてください。
住居費の目安の決め方:当サイトは「手取りの25%前後」
「家賃は手取りの3分の1まで」という言い方を聞いたことがあるかもしれませんが、これは法律や公的な基準ではありません。当サイトは、家賃に管理費と駐車場代を足した毎月の住居費を、世帯の手取りの25%前後に収めることをすすめています。これは統計から導かれた基準ではなく、家計管理のための当サイト独自の目安で、理由は次の2つです。
- 貯蓄に回す余地を残すため: 前の節のとおり、平均的な勤労者世帯は可処分所得の約35%を消費以外に回しています(新婚世帯の数字ではなく、家計の構造を見るための参考です)。新婚期は結婚式費用の支払い、新生活の家具家電、将来の住宅や子どもの費用と、まとまった支出が続きます。住居費を手取りの3割にすると、残り7割で生活費と貯蓄をまかなうことになり、貯蓄の余地が小さくなります。
- 収入が下がる期間に耐えるため: 家賃は簡単に下げられない固定費です。産休・育休、転職、体調の変化で収入が一時的に下がったときに、住居費の比率が高いほど家計が苦しくなります。
目安を手取りの金額に当てはめると次のとおりです(当サイトの計算で、手取りに対する割合をそのまま掛けたものです)。
| 世帯の手取り(月) | 毎月の住居費の上限(25%) | 同(30%) |
|---|---|---|
| 30万円 | 7.5万円 | 9万円 |
| 35万円 | 約8.8万円 | 10.5万円 |
| 40万円 | 10万円 | 12万円 |
| 45万円 | 約11.3万円 | 13.5万円 |
全国の民営借家(非木造)の平均家賃68,548円は、単純計算では手取り30万円の世帯でも25%の枠に収まります。ただし、これは地域・広さ・築年数をそろえた比較ではありません。都市部の駅近や新築を選ぶと、この平均を大きく上回ることがあります。その場合は、住居費の比率が上がる分、何をあきらめるか(貯蓄額、車、外食)を先に決めておく必要があります。
車を持つか、奨学金の返済があるか、仕送りをしているかで、家賃に回せる割合は変わります。25%はあくまで出発点で、自分たちの固定費を並べたうえで調整してください。
「世帯の手取り」で見るか「一人分の収入」で見るか
共働きの新婚が、二人の手取りを合算した金額で家賃を決める場合、落とし穴になることがあります。
- 産休・育休の期間は、収入が変わる: 休業中の給付額は、加入している制度や取得する期間、支給の要件で違い、働いているときの手取りと同じとは限りません。世帯収入が変わる期間が来る前提を持っておく必要があります。
- 転職・体調・働き方の変化: どちらかの収入が減る可能性もあります。
そのため、子どもを考えているなら、「いざとなれば一人分の収入(高いほうの手取り)だけでも払い続けられるか」を一度計算しておくことをすすめます。二人の手取りの合計を前提に、上限ぎりぎりの家賃を組むのは避けたいところです。共働きの家計の分け方は、夫婦の家計管理を仕組み化する記事で扱っています。
家賃以外の「住居費」も忘れずに
毎月の支払いは家賃だけではありません。次の費用は物件や契約で有無と額が変わるので、契約前に見積もりで確認してください。
- 管理費・共益費: 家賃とは別に毎月かかる。物件ごとに額が違う。
- 更新料: 契約更新のときにかかる物件がある。有無と額は契約書で確認する。
- 駐車場代: 車を持つなら毎月かかる。額は地域と物件で違う。
- 火災保険(家財保険): 加入の条件は契約書で確認する。保険料は契約内容で変わる。
- 初期費用: 敷金、礼金、仲介手数料、前家賃など。物件と地域で違う。仲介手数料には法令で上限が定められている(宅地建物取引業法第46条)ので、提示された額を契約前に確認する。
「家賃+管理費+駐車場代」を毎月の住居費としてとらえると、家計の見積もりがずれにくくなります。前の節の25%という目安は、家賃だけでなく、この毎月の住居費の合計で見てください。
貯蓄とのバランスで決める
新婚期は、住居費を抑えられた分がそのまま将来の選択肢になります。住居費を手取りの30%から25%に下げると、手取り40万円の世帯なら月2万円の差です。他の支出が同じなら、1年で24万円、3年で72万円を残せる計算になります。
子ども、住み替え、賃貸か購入かの判断など、先々の選択肢を残すためにも、住居費を上げすぎないことが大事です。賃貸を続けるか購入に踏み切るかは、結婚後の住まい選びの記事と結婚を機に家を買うときのお金の記事で扱っています。
よくある質問
家賃は手取りの3分の1までと聞きましたが、本当ですか?
公的な基準ではありません。入居審査の基準は不動産会社や保証会社に確認してください。当サイトの目安は本文のとおり25%前後です。
二人暮らしの家賃の全国平均はいくらですか?
二人暮らしだけの家賃を集計した公的な統計は、今回確認した範囲では見当たりませんでした。借家全体の全国平均は、令和5年住宅・土地統計調査で59,656円、民営借家(非木造)で68,548円です。
手取りが少ないときは、家賃をどう決めればよいですか?
まず、家賃以外の固定費(車、奨学金、保険、通信費)を並べて、毎月必ず出ていく額を出します。そのうえで、手取りから固定費と貯蓄の目標を引いた残りで生活できる家賃を探す、という順番にすると、家賃の上限の目安を出せます。
まとめ
- 借家の家賃の全国平均は59,656円、民営借家(非木造)は68,548円(令和5年住宅・土地統計調査)。2018年から7.1%上がっている
- 二人以上の勤労者世帯の可処分所得は月532,408円、消費支出は346,297円で、残りの約35%が貯蓄などに回っている(家計調査2025年)
- 家計調査の「住居」費18,678円は持ち家の世帯を含む平均なので、賃貸の家賃の目安には使えない
- 当サイトの目安は、家賃+管理費+駐車場代を世帯の手取りの25%前後に収めること。統計や公的な基準ではなく、貯蓄の余地と収入減への備えが理由の当サイト独自の目安
- 共働きは、一人分の収入(高いほうの手取り)だけでも払えるかを確認しておく
- 更新料や初期費用は物件ごとに違うので、契約前に見積もりで確認する
自分たちにとって無理のない住居費の感覚は、お金の価値観そのものです。パートナーとの結婚観やお金の優先順位を整理したいときは、診断を話し合いのきっかけにしてください。
この記事の出典と確認日
確認日は2026年10月20日です。統計の数字は調査のたびに更新されます。
- 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果の概要(総務省統計局)
- 家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要(総務省統計局)
- 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)
本記事の数字は公開時点の目安であり、家賃や家計の判断は、ご自身の収入と支出をもとに行ってください。
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